一般的に「狭いマンション」と聞くと、「窮屈な感じがしそう」「収納が少なそう」といったイメージをお持ちではないでしょうか。そのイメージを覆せるのがリノベーションの醍醐味。様々な工夫で、機能性・デザイン性の高い住まいを実現することができます。今回は、60㎡以下のコンパクトなマンションのリノベーション事例をご紹介していきます。
【33㎡】室内窓で空間に抜け感を
今回ご紹介する中で、一番コンパクトなこちらの物件。リビングと洋室との間に室内窓を設け、光と風が通るようにしました。抜け感をつくることで、空間を狭く感じにくくしています。見た目もおしゃれで、インテリアのアクセントにもなりますね。
33㎡でも収納を諦めたくない!ということで、しっかりとWIC(ウォークインクローゼット)を備え付けています。スーツケースなどの大きい物もしまえて便利。廊下は最小限の面積にする、洗濯機置き場を廊下にレイアウトする、といった工夫で、少しでも収納部分を広くとるようにしました。
【38㎡】これが30㎡台?!大人シックな見映え空間
都会的なブラックを内装のキーカラーとし、大人な雰囲気が漂うこちらの物件。30㎡台の面積の中に、ゆったり幅のデスクカウンターと、オープンクローゼット・収納棚を設えたワークスペースがレイアウトされています。限られた面積の中の多機能空間ということで、圧迫感を感じてしまいそうですが、寝室との仕切り壁が、クリアガラスの室内窓になっているので、狭さを感じにくくなっています。
LDKにも空間に抜け感を与える工夫が。LDKに続く寝室の扉をすりガラスタイプのものにして、光を通すようにしました。
キッチンとリビングの間には、食事が置ける幅広のカウンターを設置。ダイニングテーブルを置く必要がないので省スペース化を実現。夜は、ブラックの内装の中で、仄暗い照明がカウンターを照らし、さらに大人な雰囲気に。思わずお酒が進みそうですね。
【41㎡】一石二鳥のガラスパーテーション
コンパクトな面積の場合、元の間取りの制約上、プライベート空間となる個室を設けるのが難しいことがあります。こちらの物件も、バルコニー側に個室をつくると、LDKの採光が取れなくなってしまう点がネックでした。それを解決するのがガラス戸です。
LDKに光を届けつつ、空間を仕切ってくれるので、プライベート空間とゾーン分けすることができます。視線を調節できるように、カーテンレールを設置するひと工夫も。
【45㎡】オープンな収納で広く見せる
洋室に設けたシステム収納は、しっかりとした長さのハンガーパイプに、使い勝手の良い棚もあり、「狭いマンション=収納力がない」というイメージを覆すような頼もしさです。ハンガーパイプや棚は可動式。収納したい物に合わせて高さが調節できるので、スペースをムダなく使えます。一般的な折れ戸のクローゼットは、端部分に引き出し収納を置けないデメリットがありますが、オープンにすることで端から端まで有効利用が可能に。さらに扉が無い分、開放感も生まれます。
LDKには、デスクと棚を設えたワークスペースも。ダークカラーのアクセントクロスで落ち着いた仕事空間を演出します。濃い色をポイントで用いることで、奥行を感じさせる視覚効果も。
【46㎡】廊下をおしゃれな収納空間に
“廊下”と名は付いていますが、単なる“廊下”とは一線を画すこちらのスペース。ロータイプの収納棚が長く伸び、バッグやお出かけ用の小物、本など、お好きな物をしまえる場所になっています。グレーのアクセントクロス・ブラックのライティングレール・ウッド棚で、見た目もお洒落な印象に。窓があるので、仕切られた納戸とは違い、明るく風通しも良い収納空間です。
LDKの一角にはデスクカウンターも。こちらもグレーのアクセントクロスで雰囲気のあるスペースに仕上げました。デスク上部には2段の棚があり、書類や本などもしっかり収納可能。デスク下にもコンセントが設置されているので、プリンタもすっきりと設置できます。
【48㎡】ウォークスルークローゼットでつくる回遊動線
「回遊動線」とは、行き止まりがなく、ぐるっと回れる動線設計のこと。移動距離が短くなるメリットのほか、見通しが良いので、空間に開放感を与えます。
こちらの物件は、「廊下→LDK→洋室→ウォークスルークローゼット→廊下」という動線。お出かけ時や帰宅時、洗濯機で洗濯乾燥した衣類を収納する、など生活の様々なシーンにおいて、短い動線での移動が可能です。
【58㎡】50㎡台でも3LDKが叶う
「50㎡台の3LDK」と聞くと、リビングも各洋室もさぞ狭いのでは?と思われるかもしれません。ところが、様々な工夫を取り入れることで、そのイメージを払拭したのがこちらの物件です。
まずキッチンを独立型にすることで、リビングスペースを広く感じられるようにしました。廊下への扉は、見通しを良くするためにクリアガラスのタイプを採用。また、隣り合う洋室との仕切りは、広く開放できる引き戸にして、一体のスペースとしても使えるようにしています。
リビングと2つの洋室がバルコニーに面しているため、明るさもたっぷり。実際の面積以上に広く感じられそうです。写真右側の洋室には収納がありませんが、書斎や子どもの勉強部屋として使ったり、部屋全体を収納スペースにする使い方もできそうです。
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一見狭いと思える面積でも、視覚的な効果を取り入れることで、実際の面積よりも広く感じることができます。また、工夫次第で、機能面を充実させたり、デザイン性を高めることができるのもリノベーションの良さ。そう考えると、住まい探しはあまり面積にこだわらなくても良いのかもしれませんね。