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「親と同居」を考え始めたら、知っておきたい『扶養』のメリット・デメリット

住まいを購入する時の状況は人それぞれ。購入にあたって、親との同居を考えるケースもありますよね。今回は、親との同居を検討する時に知っておきたい「扶養」について解説していきましょう。親を扶養に入れるメリット・デメリットや、そもそも扶養に入れることができなくなる条件など、あらかじめ知っておくことで、スムーズに新生活の準備ができますよ。

2つの「扶養」、メリットと条件とは?

一口に「扶養」と言っても、2種類あることをご存知でしょうか。①「税法上の扶養」、②「社会保険上の扶養」と、2つの「扶養」は、実は全く別物です。それぞれ簡単に説明していきましょう。

①「税法上の扶養」

所得税・住民税に対して子が控除を受けられます。また、親が70歳以上であれば、「老人扶養控除」が適用され、70歳未満と比べて控除額が多くなります。ただし、親を税法上の扶養に入れるには、親が次のすべての条件を満たしている必要があります。

  • 納税者である子と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が48万円以下である(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  • ・青色申告者の事業専従者としてその年間は1度も給与を受け取っていない、または白色申告者の事業専従者でない
②「社会保険上の扶養」

子の健康保険で親の健康保険をカバーすることができます。親は自分の健康保険料を支払う必要がなくなるため、親にとって大きなメリットとなります。また、親が65歳未満の場合は、親が介護保険料を支払う必要もありません。ただしこちらも、扶養の対象となる条件があります。

  • ・年間収入が130万円未満(親が60歳以上、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者である場合は180万円未満)

さらに、下記の条件も満たしている必要があります。

<子と親が同居している場合>
  • ・年間収入が、子の年間収入の2分の1未満
<子と親が離れて暮らしている場合>
  • ・年間収入が、子からの援助額より少ない

※上記の条件は、保険者によって異なる場合があります。

ちなみに、子が自営業の場合は、親を扶養に入れることができません。自営業の方が加入する「国民健康保険」には、社会保険上の扶養という制度が設けられていないためです。税法上の扶養は、これとは別物ですので、条件に合えば控除を受けることができます。

「税法上の扶養」でメリットを受けるのは子、「社会保険上の扶養」でメリットを受けるのは親である、という点で、そもそも二つは異なる制度だと言えます。手続きの窓口もそれぞれで違いますので、確認が必要です。

親の年齢に注意

ここまで挙げてきたメリットを考えると、条件に当てはまるなら、親を扶養に入れる一択にするべきと思いきや、実はそういうわけにはいきません。75歳以上は全員、「後期高齢者医療制度」の対象となり、健康保険の扶養の対象から外れることになります。つまり、親の健康保険を子がカバーできるのは、75歳未満というわけです。75歳以上になると、保険料を親自身が支払う必要があるのです。

介護費用の負担が増える場合も

次にデメリットについて見ていきましょう。「税法上の扶養」は、扶養に入るデメリットが特にない一方、「社会保険上の扶養」は、扶養に入れることで、逆に負担が増えるケースもあるので要注意です。

例えば、親が介護保険サービスを利用するようになった場合は、介護費用がアップしてしまうことも。介護サービス費は、1か月に一定の負担限度額を超えると、「高額介護サービス費」として払い戻しを受けることができます。この負担限度額は、親個人ではなく、世帯の所得に応じて決まっているため、親を扶養に入れて、住まいも家計も一緒になった途端、所得基準が高くなり負担額が上がってしまうのです。

介護保険施設へ入居する場合も同様です。所得によって受けられる軽減措置の基準が、世帯所得であるため、親個人で費用負担する場合と比べると、費用が高くなってしまいます。

親の健康状態によっても負担増に

親が入院・手術した場合も、ほとんどのケースで負担増となります。医療費が高額になってしまった際、一定の負担限度額を超えた分を返してくれる「高額療養費制度」というものがありますが、被保険者の所得が基準となります。つまり、親を扶養に入れていると、子の所得に応じた負担限度額となるということ。親の所得を基準とする場合と比べ、ほとんどのケースにおいて戻ってくる額は少なくなります。

入院・手術が複数回になると、扶養に入れずに、親が自身の健康保険料を支払っていた方が得だった、ということも。今健康だとしても、備えの知識として知っておけば、万一の時に役立つかもしれません。

 

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親を扶養に入れた時にメリットを得られるかどうかは、親の収入、年齢、健康状態などによって大きく異なります。その家庭に合った選択ができるよう、それぞれの制度の内容を理解しておくことは大切ですね。

 

※本記事の掲載内容は執筆時点の情報に基づき作成されています。公開後に制度・内容が変更される場合があります。最新情報や詳細については、ご確認をお願いいたします。

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