「和室のリノベーション」というと、和室(畳)から洋室(フローリング)に変更するイメージがあるかもしれません。でも実は、「やっぱり安らげる和室が欲しい」という和室人気も根強く、マイプレイスでも多くの和室リノベーションを行っています。さらに昨年から続いていた“巣ごもり生活”で、和室の良さを再認識したという声も少なくありません。今回は、和室をテーマに、メリットとリノベーション事例を取り上げていきましょう。
今改めて考える和室の良さ
●多目的に使える
“おうち時間”が増えた頃、運動不足解消のため、家の中でストレッチやヨガなどをされた方も多いですよね。和室なら、気軽に横になる姿勢がとれ、フローリングよりクッション性があるので、床が硬くて体が痛くなるなんてこともありません。ちょっと昼寝するにも、畳にゴロっとすれば、気持ちよく休めますよね。
小さな子どもがいる家庭なら、遊びやお休みのスペースにもぴったりです。特に歩き始めの時期などは転倒の不安がありますが、畳のクッション性が心配を軽減してくれます。元気な足音が、階下に伝わる心配も和らげてくれるのも嬉しいところ。床に寝転がっても体への負担が少ないので、おむつ替えやお昼寝タイムにも重宝します。
他にも、洗濯物を畳む・アイロン掛けをするといった家事スペースとして、来客用スペースとしてなど、多用途で使えるのが和室のメリットです。
●癒しのリラックス空間
「和=おだやか、なごやか」という意味があるように、和室にいると、何だかくつろぎ感を感じますよね。それもそのはず、畳の原材料である“い草”に含まれる香りには、リラックス効果・鎮静効果があるのです。「ちょっと疲れたら、畳に寝転がってくつろぐ」ということができるのも和室ならではの良さだと言えます。
●今の時代に合った素材
今さかんに取り上げられている「SDGs(持続可能な開発目標)」の観点からも、畳は時代に合った素材です。まず注目したいのは畳の調湿効果。夏は湿気を吸収し、冬は湿気を放出することで、快適な住環境を保ってくれます。
また、畳は修繕しながら繰り返し使えるのもポイント。例えば「表替え」なら、畳の中心部分はそのままで、畳表を取り替え、新しい縁を付けます。そのようなメンテナンスを行えば長く使えるエコな床材なのです。
和室のリノベーション事例7選
和室を現代テイストにリノベ
こちらは、和室の伝統的なつくりを現代風に取り入れた一例です。畳は「縁なし」のタイプでモダンな印象を与えています。「床の間」は、ネイビーのアクセントクロスで空間を引き締め、上と横からのスタイリッシュな光が壁面を照らしています。
リビングとの仕切りは「格子戸」の要素を取り入れたデザイン。適度に視線を遮りながらも、和室に光を届けています。
2つの雰囲気がミックス。これぞ「和モダン」
洋室の中に設けられた「和スペース」。自然素材が持つ温かさと、クールな印象のグレーの壁面が融合し、「和モダン」な空間に仕上がっています。壁面全体を使った「ニッチ」は、レイアウトしたインテリア小物が引き立つようなライティングが特徴的。和テイスト、モダンテイスト、どちらのアイテムを置いてもサマになります。気分によって変えてみたりと、空間を遊んでみては?
市松模様で洗練された和テイストに
壁面に取り入れたのは、日本古来の伝統模様である「市松模様」。正方形を格子状にシンプルに並べたデザインで、上下左右に途切れることなく終わりのないイメージのため、「永遠」や「発展」などの意味を持つ、縁起の良い柄として知られています。
伝統的な模様である一方、ハイブランドのデザインとして取り入れられることも。和の雰囲気と、現代的な雰囲気の両方を併せ持つため、洗練された和テイストの空間に仕上がります。
照明で変わる和のバランス
こちらも壁面に市松模様を取り入れた一例です。ネイビーの配色が空間を引き締めています。ですが、先ほどと雰囲気が異なるのは、色の違いだけではありません。照明の違いにご注目を。先ほどは、和紙素材の丸い照明が吊り下げられていて、温かみのある空気感を醸し出していました。こちらの事例では、天井埋め込み型のダウンライトを採用。現代的でスタイリッシュな雰囲気になっています。このように、照明が違うと、「和」の要素の強さも変わってくるのも、和室リノベーションのポイントですね。
畳で子育てするのはいかが?
畳以外を洋室の設えにすると、雰囲気が一変。ベージュとホワイトの優しげな空間は、和風のインテリアだけでなく、ナチュラルテイストなどの洋風なインテリアにも合う部屋になります。畳の機能を活かして、子ども部屋として使うのも良いですね。
グレイッシュな和室はリビングとも合う
リビングと隣り合う位置が多い、マンションの和室。和のスペースは欲しいけど、リビングのテイストと合わないのが気になる・・・という場合は、和室の色使いをリビング寄りに。畳はグレーのものを採用し、ブラインドの色もグレーとベージュの中間色であるグレージュにすることで、リビングと一体の空間として見た時に、和室だけ浮くことがありません。
長押(なげし)で遊ぶ
和風建築の設えの一つ「長押(なげし)」。柱と柱を繋ぐ形で水平に取り付けられたもので、元々は柱を固定するための構造材としての役割もありましたが、工法の変化によりその役割はなくなり、装飾的なものとなりました。
現在では、フックやハンガーを掛けて使うことが多いですが、写真のようにアートプランツをレイアウトすると、洗練された和空間に仕上がります。春はユキヤナギ、夏はドウダンツツジなど、四季ごとにその季節の「枝もの」を取り入れるのもおしゃれです。