マンションのリノベーションは、戸建の増築と違い、面積そのものを増やすことはできません。でも「ロフト」をつくれば、上下の空間を有効利用して、スペースを増やすことが可能に。就寝スペース、収納などと機能的な使い方をすることもできますし、子どもにとっては、秘密基地のようなワクワクするスペースになるでしょう。
今回は、子ども部屋にロフトをつくったリノベーションマンションをご紹介。楽しく遊べる場所であるのはもちろん、ロフトを中心に、子どもとの暮らしに役立つ工夫も盛り込まれています。
ロフトをつくる時の条件とは
そもそもロフトとは何か、少し整理しておきましょう。建築基準法でロフトは、「小屋裏物置等」と言い、居室ではありません。そのため、専有面積には含まれないスペースです。使えるスペースは増えるけど、その部分に固定資産税はかからない、というちょっとお得な場所なのです。
ただし、好きなだけ広いロフトをつくれるかと言えば、そうではありません。建築基準法では「ロフトの床面積が、床面積の2分の1未満であること。」「ロフトの天井高の最も高い部分が1.4メートル以下であること。」といった規制があります。また自治体によっては、エアコンを設置しないこと、電話・テレビやインターネット等のジャックの設置しないことなど、決まりがある場合も。このような制限はありますが、面積が限られているマンションにおいて、スペースを有効利用する方法の一つと言えるでしょう。
基地のように遊べるロフト
狭いところや昇り降りが大好きな子どもにとって、ロフトは居心地がよく最高の遊び場です。大人に介入されない“自分だけの基地”でもあり、自立心を育む場所にもなります。お気に入りのおもちゃを並べたり、子どもなりに設定を決めてごっこ遊びをしたりと、想像力を働かせて色々な遊びが楽しむ様子が、日常になることでしょう。
暑くなりにくい工夫も
ロフトのデメリットとして挙げられるのが、夏の暑さ。部屋全体の暑い空気が上に行ってしまうため、ロフトをつくると暑さに困るという声もあります。そこで、壁面で囲まずに、空気が通り抜けるよう一部をオープンに。エアコンの冷気がロフトにも入り込むので、暑い季節も快適に過ごすことができます。オープンになっていることで、中の様子が分かるので、見守りやすいメリットも。
また、ロフトの広さは、子どもが大きくなった時に、就寝スペースとして使えるように設計。成長に合わせて使い方を変えられます。
ロフト下は有孔ボードで多様な使い方
ロフトの下は、壁面に有孔ボードを設置。使い方はアイディア次第で自由自在です。例えば、複数のバスケットを吊り下げて、おもちゃを種類別に片付けられるようにすれば、子どもが自分でお片付けしやすくなります。また、お気に入りの人形やミニカーなどをディスプレイすれば、見せる収納として楽しくお片付けできそう。
木板などを取り付けてボールを転がす遊びや、おままごとグッズを吊り下げるなど、“プレイングウォール”としても使えます。子どもの遊びへの興味は、どんどん変化するので、それに合わせてカスタマイズできるのも、有孔ボードならではのメリットです。
また、園・学校などから持ち帰ってくる制作物のディスプレイ場所としても便利。置き場所に困りがちな子どもの制作物も、定位置を決めておけば家の中がすっきり。ディスプレイされることで、子どもも喜びを感じてくれます。思い出の写真や、お気に入りの絵本などをディスプレイしてもよいでしょう。
暗くなりがちなロフト下ですが、照明完備で明るさの心配もなく、上部と同様に空気が抜けられるようになっているので、子どもが快適に過ごせる環境になっています。
お片付け上手になる収納
ロフト周辺には、子どもが自身でお片付けや支度をできるように工夫した収納を設けています。
クローゼットはあえて扉をなくした“オープンクローゼット”に。洋服を出し入れするときのアクションをシンプルにしています。2本のハンガーパイプは、高さが3段階に調節可能。子どもの身長に合わせて、手の届く高さに設定することができます。
その横には、通園通学のグッズを一箇所に集約して置ける“キッズロッカー”を設置。子どもは園・学校の生活では、“ロッカー=お片付けの場所”と認識しているもの。そこで、子どもが日常的に見慣れているロッカーのデザインを取り入れ、お片付けに取り組みやすくしています。
年齢とともに収納するグッズも変わるので、可動棚を採用。子どもの手の届く高さに取り付けられているハンガーパイプも、不要になれば取り外すことができます。効率よく使える工夫で、子どもが小さいうちはもちろん、大きくなっても使い勝手良く収納できるようになっています。
上下空間の有効利用ができて、子どもも喜ぶロフト。子ども部屋に取り入れてみてはいかがでしょうか。また、ロフト周辺に子どもがお片付けしやすい収納もつくれば、楽しいだけでなく、子どもの成長をサポートする環境をつくってあげることができますよ。